Cryptotis dinirensis はベネズエラのアンデス山脈北東部の山地で知られるトガリネズミです。記録地はシエラ・デ・バルバコアス、マシソ・デ・グアラマカルなどにあります。
背中は鉛色の濃い灰色で、腹側はやや淡くなります。
Cryptotis dinirensisの下あごの前歯には、横から見ると三つの小さな突起が並んでいます。ベネズエラの山地にすむこの小さな哺乳類は、体の色だけでなく、口の中にも仲間との違いを備えています。
この特徴が詳しく示されたのは、2016年の新種記載論文です。研究者は、この集団の二十六標本をほかのコミミトガリネズミ類と比較し、頭骨や下あごの寸法を分析しました。以前は別の種の名前で扱われていた山地の集団を、改めて調べ直した研究でした。
下の前歯にある三つの突起に加え、耳の近くの頭骨に開く穴の位置と大きさも、種を見分ける手がかりになりました。論文では、この二つの特徴の組み合わせを、ほかの種と区別できる点として挙げています。目立つ模様の違いだけでなく、数ミリの骨や歯を丁寧に比べることで、山に暮らす動物の多様さが見えてきたのです。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
2016年の原記載は、当時知られていた二つの集団が、ディニラ国立公園とグアラマカル国立公園の保全管理地域にあると報告しています。生息する雲霧林と高地草原の状態を踏まえ、著者らは当時、この種が脅威にさらされているとは考えにくいと判断しました。こうした山地の生息地を保ち、集団の状況を確かめることが保全に関わります。