マレーシアのキャメロン高原で知られる小型のモグラです。現在のMDDはEuroscaptor malayanusとしますが、形態を詳しく再記載した2008年の論文ではEuroscaptor malayanaの綴りが使われました。
体は小さく、毛は黒に近い鉄灰色です。尾は短く、先に長い毛がつく棍棒形ですが、毛に隠れて見えにくいと報告されています。鼻先は上から見るとほぼ三角形です。
マレーシアモグラの頭骨は、若い個体では丸みが強く、年を取った個体では平たい印象になります。脳が入る部分の高さが、成長に伴って相対的に低くなるためです。頬のあたりから後ろへ伸びる骨の弓も、幼い個体では内側へ曲がり、成長した個体ではまっすぐで互いに平行になります。
2008年の再記載では、研究者は奥歯のすり減り方を手掛かりに年齢を推定し、こうした頭骨の違いを比べました。さらに、下あごの左右にある第二小臼歯が小さくなった標本も一頭見つかっています。同じ高原のモグラでも、頭や歯の形には、年齢による違いや個体ごとの違いがありました。標本を並べて調べることで、一頭だけを見ていては分からない姿の幅が浮かび上がっています。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
2008年の研究者は、キャメロン高原の涼しく湿った気候が本種の存続に適している可能性を考え、温暖化が進む中で保全上の注意を要する種だと指摘しました。また、マレー半島での追加の野外調査を提案しています。気候への懸念と、まだ十分に分かっていない分布の確認が示された研究です。