ヘラジカは、長い脚と大きな口元を持つシカの仲間です。ヨーロッパ北部などの森林や水辺を利用します。
上唇が下唇より前へ伸びています。
ヘラジカは、気になる音を聞くと、食べるのを止め、耳を立てて周囲をうかがうことがあります。その場に立って警戒することも、離れることもあります。音への反応には、食事を続けることと、安全を確かめることとのせめぎ合いが表れます。
スウェーデン中南部では、二〇二〇年五月から七月にかけて、八か所の塩なめ場に、人の話し声、犬の鳴き声、鳥の声を流す装置を置きました。動物が来たときに二十秒間音を流し、その前後も撮影して、無音の場合と比べています。解析したのは、ヘラジカが写る六百九十六回の映像でした。
この実験では、人の話し声を聞くと、その場を離れやすくなりました。犬の声では、その場にとどまりながら警戒する時間が長くなり、食べる時間が短くなりました。鳥の声にも反応はありましたが、音が終わると、警戒する時間は再生前に近づきました。音を聞いた後の動きを分けて調べることで、立ち去る反応と、立ち止まって確かめる反応の違いが見えてきます。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
ヘラジカは道路や鉄道、農地、植林地も利用し、人の活動と重なる場所で衝突や被害が起きます。この研究の著者らは、音を使って動物を遠ざける方法を提案しています。音への慣れを抑える再生間隔や、身を隠せる場所の有無などを考慮し、実際に利用する場所で効果を試すことを求めています。