日本の明るい林や草地、農地にすむ、尾の長い鳥です。オスとメスでは羽色が大きく違います。
オスは赤い顔と緑色に光る胸やおなかが目立ちます。メスの体は全体に褐色です。
春の草地で響くキジのオスの「ケンケン」は、二つの音からなる短い鳴き声です。なわばりを持つオスが繁殖期に繰り返し鳴きます。日本にすむこの鳥の声には、同じように聞こえる二音の中にも、一羽ごとの違いが刻まれています。
横浜と鎌倉で行われた研究は、野生のオス十一羽と飼育されたオス一羽の声を調べました。一九九九〜二〇〇三年の録音から、ほかの鳥の声が重なるものなどを除き、二百七十六回の鳴き声を分析しています。二つの音が始まる間隔、音の長さの比、高さ、響きの重なり方が比較されました。
それぞれの声を図に表すと、同じオスの記録は近くにまとまり、別のオスのまとまりとは重なりませんでした。あるオスでは、年や相手が変わっても、強く響く音の並び方に特徴が残りました。身近な鳥が放つ短い声が、姿の見えにくい茂みでも、どのオスがそこにいるかを探る手がかりになっています。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
2017年に研究者がまとめた報告では、各地への人工繁殖個体の放鳥によって、地域ごとの羽色などの特徴が薄れたことが保全上の課題として挙げられました。地域の個体群を調べ、もともとの違いを保つことが重要です。鳴き声による個体識別も、野生のオスの暮らしを継続して調べる手がかりになります。