パラワン島のマタリンガハン山で記載されたトガリネズミです。ずんぐりした体と幅広い前足が特徴で、苔の多い高地の森の調査で多く見つかりました。
体はずんぐりし、前足は幅広く長い爪があります。短い尾には短い毛が密生し、長い毛先はありません。
Palawanosorex muscorumは、主に夜、地面の近くで活動するトガリネズミです。同じ山にはCrocidura palawanensisも暮らしています。どちらも地面で多く捕獲されましたが、本種は地上の低い場所に捕獲記録が集中していました。
研究者は二〇〇七年六月から七月に、マタリンガハン山の南斜面で調査しました。わなには焼いたココナツや生きたミミズを使い、捕まった高さと昼夜も記録しています。本種では、捕獲場所が分かる二十一例のうち、地面より高い場所は二例で、最も高くても地上〇・五メートルでした。
同じ調査のCrocidura palawanensisは、三十例のうち八例が地面より高い場所で、木の幹の地上二メートルにも記録がありました。また、本種を捕らえたわなの餌が分かる二十二例では、十一例がミミズを使ったわなによる捕獲でした。似た森にすむ小さな動物でも、捕まる高さや餌別の記録を比べると、暮らしの違いを探る手がかりになります。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
本種が見つかったマタリンガハン山域では、違法伐採や持続的でない農地利用などから森林を守ることが課題です。保護区の管理委員会は二〇二二年の決議で、こうした脅威を挙げ、関係機関が協力して環境保護を進める組織の設置を承認しました。山の森林を残し、本種の生息状況を継続して調べることが重要です。