灰色の体に白い頭と首を持ち、冬には日本にも渡るツルです。
成鳥は頭と首が白く、体は暗い灰色です。額には赤い部分があり、翼の先や尾は黒色です。
冬のナベヅルは、夕方に決まったねぐらへ戻るだけではありません。九州の出水・阿久根で1980〜1984年に行われた個体識別調査では、昼の大半はねぐら近くの餌場で過ごし、約1割は朝に別の場所へ飛び、夕方に戻っていました。夜には全個体が2か所の共同ねぐらに集まりました。
山口県八代の1983〜1986年の調査では、11〜12月は棚田の水田が主なねぐらでしたが、1月以降は池の利用が増えました。気温が0度を下回ると、多くの個体が池の水面で休み、氷に覆われた場所は避けました。水田のねぐらが凍るためと、研究者は説明しています。昼の餌場と夜の休息場所は近くても同じではなく、季節や気温によって使い分けられることが、二つの越冬地の観察から見えてきます。
IUCNレッドリスト · 危急(Vulnerable, VU) · 世界全体(種レベル)
ナベヅルは、IUCNレッドリストの2025年世界評価で危急(VU)とされています。評価では、越冬地が少数に集中し、湿地の減少や劣化に伴って、渡りの途中や越冬に使われる場所が減っていることが重視されました。一方、同じ評価は過去約3世代の世界個体数を増加傾向と推定しています。BirdLife Internationalの評価履歴は、世界の個体数が増えても、多くの鳥が出水や韓国の順天湾など少数の越冬地に集まり、過去の越冬地の一部が使われなくなったと記録しています。山口県八代の調査も、採食地やねぐらの減少、人の活動による影響を地域の課題として挙げました。そのため、評価では個体数だけでなく、越冬地が少数に集中していることも重視されています。