目から体の横へ伸びる筋模様が目立つ、沖合のイルカです。
目と胸びれを結ぶ細い筋と、目から腹側の後方へ伸びる筋があります。
イタリア南部のタラント湾では、2017年春から夏に船で15回の調査が行われ、57頭のスジイルカから組織試料が集められました。研究者はミトコンドリアDNAのチトクロームbという一部を調べ、25頭分の配列から11種類の型を見つけました。湾の地形や海水の動きが、地中海の他の群れとの違いに関わる可能性が示されました。
ただし、これは母親から受け継ぐ一つの遺伝子だけを使った研究で、地中海全体に広く行き来する個体群の可能性も残ります。遺伝的な違いが見つかっても、保全や管理に必要な時間幅で別の集団として扱えるかは、さらに確かめる課題です。今後、別の遺伝子や長期の移動記録を合わせれば、この湾の特徴を管理上どう扱うかをより詳しく検討できます。
IUCN Red List · Least Concern (LC) · Global
IUCNレッドリストでは、スジイルカは2019年に世界全体で低懸念(LC)とされました。この区分は種全体の評価です。タラント湾の研究は局地的な遺伝的まとまりの可能性を調べましたが、独立した個体群と確定したわけではありません。地域の海域利用や個体間の移動が十分に分からないため、地中海全体の評価を湾内の状況にそのまま当てはめず、遺伝と生態の両方を長く調べる必要があります。
ACCOBAMS科学委員会の2023年資料に掲載されたIUCNの地域評価では、地中海個体群は低懸念(LC)、コリント湾個体群は絶滅危惧IB類(EN)です。タラント湾の研究は、調査したイルカをどちらの地域評価単位にも割り当てていません。