ニホンジカは、日本を含む東アジアに自然分布するシカです。林の中を主なすみかにします。
背中からお尻へ暗い線が続き、お尻には白い部分があります。枝角が生えるのはオスです。
奈良公園のニホンジカは、せんべいを持つ人に頭を下げ、また上げる「おじぎ」をします。人が近くにいる場所を利用し、食べ物を得る機会と結び付いた行動です。人との接し方には、野山のシカとは違う、奈良公園で育まれた特徴があります。
2023年の研究では、奈良公園で来訪者が大きく減った時期に、シカの居場所とおじぎを調べました。博物館近くで、シカから一メートル離れてせんべいを見せ、相手が立ち去るか、人へかみつくなどするまでの頭の動きを撮影しました。一回の試行のおじぎは、2016〜2017年には平均10.2回、2020〜2021年には6.4回でした。感染症流行中の月ごとの比較でも、来訪者が多いほど、おじぎが多くなる関係がありました。東大寺周辺では、調査範囲にいたシカも来訪者とともに減っていました。人が集まる場所の使い方と、人へ向けた行動の両方に変化が表れていました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
奈良の鹿愛護会は2025年2月、東大寺境内にいた妊娠中のメスの第一胃から、2.9キロのプラスチックごみが見つかったと報告しました。この個体の直接の死因は交通事故と推定され、胃内のごみは別の健康上の懸念として記されています。同会は、食べ物のにおいのついたごみの誤食を防ぐため、人の食べ物を与えず、ごみを持ち帰ることと、シカとの交通事故を避ける運転を呼びかけています。人と接する奈良のシカを守るための地域の課題です。