メスは、目の後ろに深いくぼみがあるクモです。
オスとメスの腹部はほぼ球形で、背中側に突き出すこぶがありません。
Zephyrarchaea vichickmaniの名前の基準となったオスは体長二・七七ミリでした。調べられた三匹のメスの体長は三・四四〜三・九〇ミリです。メスのあごの前面には、オスにある付属の毛がありません。
このクモが新種として発表された二〇一二年の研究には、同じ森で時を隔てて集められた標本が登場します。ビクトリア州のアケロン・ギャップでは、一九九六年二月から四月にかけた落とし穴式のわなから幼いクモが、六月から八月にかけた別の採集期間にはメスが得られました。場所は、ナンキョクブナの仲間が茂る森でした。
二〇一〇年三月二十九日には、標高七六九メートルで、木生シダの下にたまった落ち葉がふるいにかけられました。この日の資料は、名前の基準となるオスとメスのほか、もう一匹のメスと六匹の幼いクモからなります。地表に仕掛けたわなと、植物の下の落ち葉を調べる方法が、同じ森の小さなクモをそれぞれ捉えていました。種名は、クモの研究に貢献したビクター・ヒックマン教授にちなんでいます。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
本種の採集地はヤラ・レンジズ国立公園にあります。公園の二〇〇二年六月の管理計画は、雨林を構成するマートル・ビーチの木が真菌による病気で枯れる問題を取り上げ、道路や歩道の工事などで幹や根を傷つけることが病気の広がりを悪化させうるとしています。木の近くで行う工事への対策や、病気の調査・監視が同計画に盛り込まれました。こうした森の管理とともに、本種の生息場所をさらに調べることが保全の基礎になります。