メキシコ南部チアパス州のラカンドン熱帯雨林で知られる小型のトガリネズミです。原記載時に確認されたのは2標本で、採集地はヤシュチラン遺跡付近の低地雨林でした。
背面の毛は濃い灰色から黒に近い色です。記載標本では尾は体に対して比較的長く、小型の体に対して目立ちます。
Cryptotis lacandonensisは、メキシコとグアテマラの国境を流れるウスマシンタ川の周辺にすむ小さな哺乳類です。湿った低地の熱帯林から知られ、同じ仲間に多い山地のトガリネズミとは異なる環境に暮らしています。
2019年の論文で、この種はグアテマラから初めて報告されました。手がかりは、新しく捕まえた動物ではなく、1995年十一月にベテルで採集され、大学の標本庫に保存されていたメス一匹でした。メキシコの最初の記載地から、南へ約十八キロメートルの場所です。
研究者は標本の頭骨を取り出して洗浄し、十三項目を測りました。ほか五種類、二十標本の頭骨や、原記載で示された二標本の計測値と比べています。歯の並びや小さな歯の見え方、計測値の分析を合わせ、保存されていた一匹をこの種と判断しました。長く保管された標本が、川を挟んで続く分布を確かめる新しい証拠になったのです。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
2019年のグアテマラ報告は、ベテル周辺で熱帯林が農作物の畑や牧畜地に置き換わり、この種の生息する森林が、特にグアテマラ側で急速に分断されていると指摘しています。著者らは、国境の両側で保全を進めるための象徴となる動物として、この種に注目しました。残された森林を保つことと、暮らしや分布をさらに調べることが課題です。