アフリカの川に近い森で暮らす、白いひげを持つサルです。
灰色の体に黒い手足と尾があり、白い口元と長い白ひげ、橙色の頭頂部が目立ちます。
ブラッザグエノンの研究で目を引くのは、声や色より「どうすれば見つからずに動けるか」です。1978年の野外研究は、発信器による追跡から、小さな家族群が川沿いの約4〜10ヘクタールを使い、日々およそ250〜1,010メートル移動すると報告しました。行動圏の使い方は、特定の木が実る時期と関係する可能性も示されています。群れのまとまりや慎重な移動は、捕食者の注意をそらすより、そもそも引きつけないための戦略と解釈されました。
川辺の森は、ただの背景ではありません。食べ物を探し、身を隠しながら移動する場所です。伐採や農地化で森が分断されると、採食場所と移動経路の両方が変わるおそれがあります。ただし、この研究の行動圏は種全体の平均ではなく、1978年の観察を各地の個体にそのまま当てはめることはできません。川沿いの環境と餌の変化を地域ごとに調べることが、目立たない暮らしを守る手がかりになります。
IUCNレッドリスト(IUCN SSC Primate Specialist Group) · 低懸念(Least Concern, LC) · 世界全体
ブラッザグエノンは、IUCNレッドリストで世界全体が低懸念(LC)と評価されています。評価日は2016年8月20日、公表年は2019年で、個体数傾向は「不明」です。IUCNは広く分布し全体では一般的とする一方、農地化や木材採取による森林減少、食肉目的の狩猟で地域的な減少が起きていると記しています。東アフリカでは食用や農業上の害獣として殺されることもあります。分布域の複数の保護区にも生息し、CITES附属書IIに掲載されています。世界全体の評価だけでは地域ごとの変化は見えないため、川辺の森と個体数を地域単位で見守ることが保全の課題です。