あごの下を通る細い黒い線が、ひものように見えるペンギンです。南極半島や南大西洋の島々で繁殖します。
尾は黒く、翼のようなひれは上側が黒、下側が白です。オスとメスの羽の模様はよく似ています。
ヒゲペンギンが繁殖地で暮らし始める日は、十年ほどの間にも変わります。南極半島周辺を長く見守った研究では、巣を作る場所に毎日居続けるようになる日が、平均すると一年につき約一日早まっていました。白い大地で始まる子育ての準備にも、年を重ねた変化が現れています。
2026年の研究は、2011〜2012年から2021〜2022年の南半球の繁殖期を調べています。三種のペンギンが暮らす37の繁殖地に計77台のカメラを置き、一定の間隔で撮った写真を追いました。南極半島周辺のヒゲペンギンでは、連日巣の場所にとどまり始める日は平均で10月29日ごろ。多くの繁殖地で前倒しが見られた一方、シグニー島でははっきりした変化がありませんでした。同じ種でも、暮らす地域によって季節の始まり方には違いが現れています。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
ヒゲペンギンの保全には、繁殖地ごとの変化を追う調査が進められています。2020年の研究は、地上やドローンで数えた巣と衛星画像をまとめ、世界の繁殖数を約342万組のつがいと推定しました。過去と比べられた繁殖地のうち、南極半島西側では多くが減少していました。一方、古い記録が乏しく変化を判断できない場所も残っています。研究者たちはサウス・オークニー諸島やサウス・サンドウィッチ諸島などの再調査と、冬に使う海域や食べ物の研究を重視しています。