ツンドラヒシクイ(A. serrirostris)とは別の種です。
西方の野生個体群では、頭と首が濃い茶色で、足は橙色です。くちばしにも黄橙色の帯があります。
石川県の片野鴨池で冬を過ごす亜種オオヒシクイは、水底に沈んだヒシの仲間の実を食べます。体を逆さにして実を拾い上げると、くちばしで転がすように動かし、硬いとげを折ってから殻を割ります。拾った実をそのまま捨てることもあり、口に運んだ後にも食べ物を選ぶ動きが見られます。実の大きさによって、食事にかかる時間も変わりました。
2010〜2012年の二つの冬に、実を探し始めてから食べ終わるまでを測ると、大きな実には小さな実のおよそ3倍の時間がかかりました。さらに2015〜2018年の三つの冬には、食べられた実の中で、小さな実の割合が高くなっていました。これは、鳥が入れないようにした場所で集めた実の割合とも違っていました。小さな実を多く食べることが、効率のよい食事につながる可能性があります。水面では、実をくわえたくちばしが動き、とげや殻を処理していました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
環境省の2026年の評価では、日本で冬を過ごす亜種オオヒシクイについて、マコモやヒシが育つ湿地の減少や環境の悪化が指摘されています。繁殖地であるカムチャツカ半島の一部では、開発や狩猟の影響も懸念されています。餌になる植物が育つ浅い水辺を保つことが、越冬地での保全の課題になります。