記載されたメスは、頭から胸をおおう部分が少し赤みのある暗い茶色です。
脚は茶色で、先に向かうほど暗くなり、輪模様があります。
Selenops huetocatlは、長い脚を持つクモです。詳しく体を調べられたメスでは、脚を除く体の長さが一三ミリメートルほどあるのに対して、前から二番目の脚の長さは二七ミリメートルあります。八本の脚の先には、爪の周りに毛の束があります。
二〇一一年に新種として発表されたとき、研究者はこの大きさを名前に込めました。種名のhuetocatlは、原著によれば、現地の言葉で「大きい」を表すhueiと、「クモ」を表すtocatlを合わせたものです。体の特徴を、土地の言葉と結び付けて名付けたクモです。
標本の中には、成長の途中の姿からおとなになるまで追えたメスもいます。プエブロ・ヌエボ・ソリスタワカンで九月十七日に採集された一個体には、九月二十日に脱皮しておとなになったという記録が添えられています。切り倒されたマツの樹皮の下で得られた個体が、脱皮を経て、体のつくりを調べる標本の一つになりました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
二〇一一年の原著には、チアパス州の森林で得られた本種の標本が記されています。メキシコの生物多様性を調べる公的機関CONABIOは、この種が暮らす雲霧林という森林全体の課題として、違法な伐採、火災、農地や牧草地、道路などへの転換を挙げています。本種の保全を考えるためには、過去の採集地の周辺で森林や樹皮の下の環境がどう残っているかを確かめ、生息状況を調べ直すことが手がかりになります。