フィリップコミミトガリネズミはメキシコ南部オアハカ州の山地に分布します。尾が比較的長く、標高の高い森林や雲霧林で知られています。
尾は平均約31mmで、頭胴長の約46%です。前足はやや大きく、前足の爪は長く、同属の多くの種に比べてやや幅広い形です。
フィリップコミミトガリネズミは、メキシコ南部の湿った山林にすみます。木生シダの生える湿った斜面や、雲霧林に囲まれた小川のそばも、そのすみかです。サン・アグスティン・チャユコでは、周囲にコーヒー畑もある小川沿いに暮らしています。
二〇二〇年の論文は、博物館で種が決まっていなかった五つの標本を調べ直しました。体や頭骨の形を比べると、どれもフィリップコミミトガリネズミだと分かりました。二つは小川沿い、三つは別の村の湿った斜面で、いずれも二〇〇九年に採集されたものでした。
二つの地点は、知られていた最寄りの生息地より約六十キロ西にありました。特に小川沿いの地点は、山の連なりを隔てるリオ・ベルデ川の向こう側でした。博物館に保管されていた小さな標本が、この種の分布を描く地図を広げたのです。西側の二地点でも、湿った森や小川沿いというすみかが記録されました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
二〇二〇年の原著は、本種の分布を確かめるため、調査の少ない地域で野外調査を続け、博物館の標本と記録も見直すことを求めています。サン・アグスティン・チャユコでは、コーヒー栽培が本種にどのような影響を与えるかも、今後の調査課題としました。山の森に残る生息地を見つけ、その周辺の土地利用と個体群の関係を確かめることが、この地域での保全判断を支えます。