泳ぐクラゲの姿と、泥の中にすむ小さなポリプの姿を持つ動物です。別々の種だと思われていた二つの姿が、DNAの研究でつながりました。
クラゲの姿には、先の丸い短い触手が4本あります。ポリプの姿は細い紡錘形やこん棒形で、口の下に短い触手が並びます。
Plotocnide borealisの泳ぐクラゲは、グリーンランド北東沖では、海岸から続く海底の浅い棚の上にある冷たい水域に多く見られます。海面近くにも、それより深い水中にも分布し、多い深さは場所によって変わります。
2017年八月から九月、研究船ダナ号は沿岸から沖へ延びる南北二本の調査線で、九地点を調べました。研究者は網を深さ別に引き、水温や塩分も測っています。得られた32試料から調べたゼラチン質の動物十一分類群のうち、個体数の割合が最大だったのが本種で、全体の34.6パーセントを占めました。北側の棚海では中層と深層、南側では浅層と中層で本種が優占しました。南側の棚海で得られたゼラチン質の動物は、本種だけでした。同じ種類の小さなクラゲでも、海岸からの距離や水の層ごとに、その分布が違っていました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
本種が多く見つかったグリーンランド北東沖では、暖かい大西洋の水の影響によって、海の生物の組み合わせが変化する可能性が保全上の関心になっています。2023年の調査研究は、本種を冷たい棚海の水域を特徴づけるクラゲの一つとして挙げました。著者は今後の変化を見通すため、この地域の棚海で調査を重ね、長期の資料を得る必要性を提案しています。