野生では海辺の岩の隙間などに巣を作るハトです。街で見かけるドバトは、人に飼われたハトに由来する同じ種の鳥です。
灰青色の体に、翼の黒い二本の帯が見られるものが多くいます。野生化したドバトには、さまざまな羽色があります。
スコットランドの北ウイスト島には、飼育由来の鳥との交雑が少ない、野生のカワラバトが暮らしています。その中には、岩穴だけでなく、農地にある石造りの建物をねぐらにするものもいます。野生の鳥も、人が作った場所を暮らしに取り入れているのです。
二〇二三年七月、この島の農場で七羽に小さな位置記録装置が付けられ、五羽から移動の情報が得られました。追跡できた期間は個体ごとに四~二十九日でした。五羽は農地の周辺で過ごし、記録された位置はいずれも、ねぐらから三キロ以内にありました。昼間にも、何度も建物のねぐらへ戻っていました。
島には、岩穴から離れた餌場へ通う群れもいます。一方、この五羽は、餌場のある農地の中で眠ることで、広い荒野を越えて通う移動をせずに暮らしていました。著者らは、こうした人の近くで暮らす性質が、ハトが飼育されるようになった過程を考える手がかりになると述べています。同じ野生集団の中にも、住まいと餌場の結び方に幅があるのです。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
二〇二二年の遺伝子研究では、スコットランドやアイルランドの野生集団に、飼育由来のハトとの交雑が地域ごとに異なる程度で見つかりました。アウター・ヘブリディーズ諸島では、その影響がごく小さく、野生系統の特徴を残す集団として重要とされています。著者らは、交雑によって野生系統が置き換わる危険を指摘し、世界各地の野生・野生化・飼育集団を比較する調査を今後の課題に挙げています。