フーチェンモグラは中国南部とベトナム北部で記録されるモグラです。北ベトナムの調査では、自然林や人家の近くで採集されました。
体は小型で、毛は暗い色です。頭骨の耳が開く部分が幅広く、近縁種との区別点として記載されています。
フーチェンモグラは、中国南部からベトナム北部にかけてすむ小型のモグラです。暗い色の毛をもち、頭骨の鼻先にあたる部分は細く、台湾にすむ近縁のモグラとは別の種です。
二〇一〇年の研究では、ベトナムのサパで得られたメス一匹の細胞を調べました。研究者は、遺伝情報を載せた染色体を染め、数だけでなく縞模様も見比べました。このメスの染色体は三十本で、比較した台湾の二種の三十二本とは異なっていました。
縞模様を日本のモグラの既存資料とも照らし合わせると、フーチェンモグラの大きな染色体には、別々だった染色体が結びついてできたと考えられる組み合わせが見つかりました。その組み合わせのうち二つは、比較した台湾の仲間にはないものでした。著者らは、こうした細胞の中の違いも、このモグラを独立した種として扱う根拠になると述べています。外からは見えない小さな構造にも、仲間との歴史の違いが刻まれているのです。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
二〇二四年のベトナム哺乳類の保全研究は、フーチェンモグラを、保全評価に用いた資料で情報が不足しているか、評価が掲載されていない動物の一覧に含めています。著者らは、こうした動物の保全状態を調べることを今後の優先課題に挙げています。この種についても、種類を正しく確かめた生息記録を増やし、生息地や個体数の変化を調べることが保全の基礎になります。