ピレネーデスマンは山の川で暮らす小さな哺乳類です。長く動く鼻先で、川底の小さな水の生き物を探します。
鼻先は長く伸びてよく動き、足には水かきがあります。水をはじく毛は、背中が灰色がかった茶色、腹側が銀色がかった白です。
ピレネーデスマンはイベリア半島にすむ水辺の哺乳類です。北西部で採取された非侵襲試料からミトコンドリアDNAを調べた研究では、大きな範囲や流域全体では陸上を通る移動の影響が強く、小さく生息環境のよい流域では川と陸の両方が遺伝的なつながりに関わると示されました。移動の道筋は、川だけをたどれば分かるわけではありません。
二つの遺伝系統が見つかったのは、調査地域のポルマ川と支流クルエニョ川だけでした。著者らは、川や上流の小川に加え、流域どうしを結ぶ陸上の回廊も守る必要があると述べています。ただし解析に使ったのは古い時代に生じたミトコンドリアDNAの違いで、現在の個体がどの道を通るかを直接追跡した結果ではありません。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
北西イベリア半島の遺伝研究は、流域間の移動が進化史に関わった可能性を示し、川・上流の小川と流域間の陸上回廊を一体で守る必要を指摘しています。とくに分水界近くの森林、低木地、湿地、山地草原も移動の手掛かりになり得ると著者らは述べます。ただし対象地域は山地どうしの接続が比較的多く、古いミトコンドリアDNAから現在の移動経路を特定できません。全分布域の評価や正式な保全区分はこの研究の範囲外です。