エチオピア高地の草原で草を食べるサルです。
オスとメスとも胸に毛のない部分があります。オスはメスより大きく、肩の周りに長い毛が発達します。
ゲラダの食卓は、「草が主食」の一言では語り切れません。エチオピアのグアッサで行われた7年間の研究では、植物56種以上、無脊椎動物20種以上、爬虫類1種、鳥の卵が食物として記録されました。年間の食事はイネ科などの草類が56.8%、広葉草本が37.8%を占めましたが、月ごとの内訳は大きく変わりました。
別の場所、ウォロの人の利用が進んだ景観で18か月続いた調査では、1群のゲラダが食べたものの5.6%は穀物でした。さらに乾季には、根茎や球茎など地下の草の部分が食事の22.3%を占め、雨季には食べられていません。草の葉が減る時期に、地下の食料が「つなぎ」になるのです。人の暮らす土地では穀物も食べ、雨季と乾季では地下部を食べる割合が変わります。草食という特徴の奥には、季節の変化に応じた細かな選択があります。
IUCNレッドリスト(IUCN SSC Primate Specialist Group) · 低懸念(Least Concern, LC) · 世界全体(種全体)
ゲラダ種全体は、IUCNの世界評価で低懸念(LC)ですが、個体数傾向は減少とされています。評価日は2018年6月29日で、確認できた詳細な評価書は2019年公表です。2025年版にも同じ評価日の記録があります。別の世界評価では、ゲラダの亜種であるアルシ・ゲラダ(T. g. arsi)が2025年に絶滅危惧(EN)とされました(評価日2023年8月1日、個体数傾向は不明、成熟個体は推定800頭)。この亜種は保護区内での生息が確認されず、生息地の減少・劣化・分断、人との衝突、狩猟が懸念されています。二つの評価は対象分類群が異なります。地域ごとの個体数と高地草原を調べ、特にアルシ亜種の生息地を守る取り組みが必要です。