ケニアのモグラトガリネズミで、知られている記録はエルゴン山東斜面の標本1点です。標本の毛は厚く、濃い茶色の根元と淡い毛先が報告されましたが、保存中に色が薄れた可能性があります。
論文は、毛が厚く羊毛状で、毛の根元は濃い茶色、先端約2mmは明るい色と述べています。長期の液体保存で毛色が褪せた可能性も記しています。
このトガリネズミは、前足についたつめが大きく発達しています。後ろ足のつめも大きめですが、前足ほど目立つ発達ではありません。頭には外へ張り出す耳がなく、小さくなった目は膜でおおわれています。短い尾と、足元に並ぶ大きなつめが、この山の小さな住人の姿を形づくっています。
2009年の新種記載で調べられたのは、ケニアのエルゴン山東斜面、標高3150メートルで拾われた一頭です。液体に浸して保存された体から頭骨が取り出され、同じ仲間の二種と形や大きさが比べられました。頭骨や歯の測定値の多くは、その二種の中間に入ります。一方、脳を包む頭骨の後ろ側は、どちらの種よりも小さく短い形をしていました。体全体の大きさを比べるだけでなく、足、耳、頭骨を一つずつ調べる作業が、新しい種の特徴を浮かび上がらせました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
本種の発見地があるエルゴン山のケニア側では、森林の農地への転換や炭焼きによる森林破壊が保全上の課題となっています。現地の森林保全事業は、ケニア野生生物公社・森林公社と連携し、見回りで炭焼きが集中する場所を確認して、森林破壊を抑える活動を報告しています。