ベトナムのケゴー自然保護区で記載された小型のトガリネズミです。論文が扱う標本はホロタイプ1点だけで、分布や暮らしについて分かっている範囲は限られます。
体はとても小さく、毛は短い茶灰色です。尾と足も短く、口元の上唇の上に黒っぽいひげの斑点があります。
Crocidura kegoensisの頭骨は、鼻先が短く、脳を包む部分が横に広く平たい形です。上あごでは、奥歯の手前にある歯の後ろ側が深くくぼみ、次の歯との間に三日月形のすき間があります。小さな体の中にも、頭の形と歯の並びに特徴があります。
二〇〇四年の研究では、研究者が頭骨や歯を細かな単位で測り、Crocidura wuchihensisと比較しました。本種の標本では、鼻先から頭の後ろまでの長さや、脳を包む部分の長さが、比較した仲間の範囲より短くなっていました。ところが、頭骨の幅の値は、その仲間の範囲に収まっていました。
この組み合わせによって、本種の頭骨は長さに対して幅広くなります。長さと幅を分けて比べると、似た動物を同じ割合で小さくした姿とは違う、独特の輪郭が浮かび上がります。研究では複数の測定値をまとめて比べる方法でも、基準標本の違いが示されました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
本種が最初に見つかったケゴーの低地林を残し、小型哺乳類の調査を続けることが保全につながります。二〇〇四年の原著は、残された低地林や山地林で調査を進める必要性を強調しました。基準標本が得られたのは保護区内の原生林です。森を守る取り組みと、生息場所を確かめる調査を組み合わせることが大切です。