森や人里近くで暮らす、木登りをするジャコウネコの仲間です。
顔の中央に、頭から鼻へ続く白い筋があります。体や長い尾には、はっきりしたしまや斑点がありません。
街の道路は、ハクビシンにとって一律の壁ではないようです。岩手県盛岡市の市街地2地区で、研究者は5頭にGPS首輪を付け、2021年に移動を追いました。行動圏は約64〜298ヘクタールで、重なる範囲も広く、河川や線路の向こうに位置記録が少ない場所もありました。
道路の影響は、幅だけでは決まりません。幅の広い道や制限速度の高い道は移動を妨げましたが、調査した道路A(幅3〜5.5メートル、制限速度40キロ、暗い区間100%)では、GPS記録からバリアー効果が確認されませんでした。研究全体では、道幅・制限速度・路面の明るさがそろった道路ほど障壁になりやすいと報告されています。追跡個体は商業地域を避ける傾向も示しましたが、理由は不明です。結果は盛岡の5頭、2地区の記録で、他の都市にそのまま当てはめることはできません。それでも「街にいるか」だけでなく、どの道や川が移動を妨げ、どんな土地を利用するかを測ると、都市の中の生息環境を細かく考える手掛かりになります。
IUCNレッドリスト · 低懸念(Least Concern, LC) · 世界全体(Paguma larvata 種全体)
2016年公表のIUCN世界評価では、ハクビシン(Paguma larvata)は低懸念(LC)です。評価日は2015年3月3日で、個体数傾向は減少とされました。広い分布や保護区での記録などが世界全体の評価を支える一方、森林減少や捕獲は一部地域で減少を招くおそれがあります。評価書は、南中国向けの取引やコーヒー用飼育に伴う野生個体の採取を監視し、生息地の分断への適応を調べるよう提案しています。日本では外来種です。環境省の2026年版「生態系被害防止外来種リスト」はハクビシンを「防除推進外来種」、定着段階を「分布拡大期~まん延期」とし、農業被害や家屋侵入、タヌキ・キツネ・テンとの競合の可能性を記しています。この国内分類は世界全体のIUCN評価と範囲が異なります。環境省の「特定外来生物等一覧」には本種の記載がなく、同省リストの分類とは別の区分です。国内では逃がしたり放したりせず、地域の生息状況や影響を把握することが大切です。