ゲムズボックは、顔と体に黒い線模様のあるオリックスの仲間です。
灰色から黄褐色の体に、黒い顔の模様と白い鼻先があります。長い角には輪のような筋が並びます。
ゲムズボックは、動く時間や過ごす場所を変えて、暑い環境で暮らします。ボツワナのカラハリでは、暑い季節になると夜の活動の割合を増やし、日中の暑い時間には日なたより涼しい場所を選んでいました。
野生のメスに体温や活動、居場所を記録する装置を付けた研究では、二〇一三年十二月~二〇一四年十一月の一年が詳しく調べられました。体温と周囲の暑さは五頭、活動は三頭の記録が分析されました。首輪に付けた温度計と、日なたに置いた同じ温度計を比べることで、その個体がどのような暑さの場所を選んだかが調べられました。
暑い季節には、日中に日なたより約十度涼しい環境にいることもありました。体温は多くの時期に比較的狭い範囲で変化し、暑く乾燥した季節には一日の変動幅が大きくなりました。著者らは、日中の暑さを避ける行動や夜の活動が、こうした環境で暮らす助けになっていると考えています。体の働きと、場所や時間の選び方が重なった暮らしです。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
二〇一六年の南アフリカ・レソト・スワジランドの地域評価は、ゲムズボックの管理上の課題として、過放牧による生息環境の劣化や、孤立した小集団の遺伝的多様性の維持を挙げています。とくに小さな民有地では柵が自然な移動を制限するため、餌や水の資源を保ち、個体数の推移と遺伝的多様性を調べるよう勧めています。生息地をつなぐ通り道の確保も、同資料に挙げられた保全策です。