ダマジカは、オスの手のひらのような枝角が特徴のシカです。斑点のある個体のほか、白や黒っぽい個体もいます。
オスの角は先のほうが平たく広がります。赤茶色で斑点のある毛は、冬には暗くなります。
ダマジカのオスは、繁殖期になると低いうなり声を繰り返します。ほかのオスの声を聞くと、声のする方向へ顔を向けたり、近づいたりします。その反応は、声の高さや長さによって変わります。
二〇一五年に発表された研究では、英国ウェストサセックスのペットワース公園で、二〇一二年の繁殖期に実験しました。対象は、繁殖のための縄張りを持ち、鳴いていた成獣のオス一〇頭です。それぞれに、別のオスの声と、その高さや響き、長さを変えた声を聞かせました。低くした声を聞いたときには、元の声よりも早く音の方向を見て、長く注意を向けました。
一方、元の声を短くしたものでは、音の方向を見るまでの時間が長くなり、見ている時間も短くなりました。短い声には、元の声より近づく反応もありました。著者らは、オスが相手の競争力を声から判断していると考えています。オスは相手の姿が見えないときにも、声を聞き分けて、注意を向け続けるか、近づくかを変えていました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
トルコの農林省は、ダマジカの保護、繁殖、野外への移送を行っています。二〇二〇年五月九日の発表では、マナヴガトへ移すオス一五頭と、キョイジェイズへ移すオス八頭を、一〇日間の慣らしの段階に入れたと報告しました。マナヴガトには、隠れる場所、餌場、水飲み場を備えた柵囲いを用意しています。六頭には位置を伝える首輪を付け、担当者が慣らしの期間を見守っていました。