パナマから南アメリカにすむイヌの仲間です。脚と尾が短く、低い姿勢のずんぐりした体をしています。
頭は赤みのある淡い茶色で、体の後ろに向かって毛色が濃くなります。足には水かきがあります。
ヤブイヌの群れは、広い範囲を巡りながら暮らします。ブラジルの農地が広がる地域では、自然の草原や森をよく使い、草原では食べ物を探し、森では休み、耕された土地では速く通り過ぎる姿が見られます。
二〇一四年にオンライン公開された研究では、ブラジルのマットグロッソ州アグア・ボア付近で、七〜十頭からなる一群を追いました。二〇〇八年五月から〇九年十二月までに確認した二百四十五地点のうち、二百三十地点は自然の植生の中でした。群れが使う範囲の約三分の二を農地や牧草地が占めていても、よく使う場所は自然の草原や森に偏っていました。
群れは一つの小さな場所にとどまり続けず、使う場所を変えていました。二〇〇九年二〜四月の繁殖期を過ぎると、それまでに使った場所へ戻り始め、五月には前年と同じ地域を再び使っています。いくつもの場所を順番に巡り、しばらくして戻る移動が、この群れの暮らしに現れていました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
ブラジルのアグア・ボアで調べたヤブイヌの一群は、農地の多い景観でも、自然の草原や森を選んで使っていました。調査地では、残された自然の植生の約八割が一続きになっており、著者らは、このつながりが群れの存続を支えた可能性を指摘しています。自然の植生を減らすことによる行動範囲の拡大や、その先の危険への懸念も挙げています。