アカシカは、英国にも自然分布する大型のシカです。ニューフォレストでは秋にオスの鳴き声が聞かれます。
英国の個体は夏に赤茶色、冬には茶色い毛になります。オスの枝角は毎年抜けて生え替わります。
アカシカのメスは、集まったり離れたりする群れの中で暮らします。スコットランドのラム島では、同じ個体でも年齢を重ねるにつれて、一緒にいる群れが小さくなり、ほかのメスとのつながりも弱くなる傾向がありました。
二〇二二年に公表された研究は、一九七四~二〇一九年の四十六年にわたる観察を用いています。野外で個体を見分け、居場所と、どの個体と一緒にいたかを繰り返し記録したものです。主な対象は五歳以上のメスで、二十万件を超える観察から、年ごとの群れへの参加の仕方が調べられました。
高齢になると、行動範囲が小さくなり、ほかのシカが少ない場所へ暮らしの中心を移す傾向もありました。こうした場所の変化を考慮しても、群れが小さくなる年齢の傾向は残りました。著者らは、体の衰えや競争相手との関係など、複数の説明を挙げています。同じメスでも、一生の中で群れとの関わり方が変わり、高齢期には少ない相手と過ごすようになります。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
英国では、在来のアカシカと、導入されたニホンジカとの交雑が保全上の課題になっています。二〇一八年の遺伝子調査では、スコットランドのキンタイアなどで交雑が確認された一方、ヘブリディーズ諸島の標本では、使った目印で最近のニホンジカ由来の交雑は検出されませんでした。著者らは、島の避難地を交雑から守ることと、何世代も戻し交配した個体も見つけられるよう、さらに多くの遺伝子の目印を使って調べることを提言しています。