ベトナムカンムリセイランは、オスの尾羽がとても長くなるキジの仲間です。ベトナムとラオスのアンナン山脈に残る常緑林にすみます。
オスは頭に二つの冠羽があり、褐色の羽に目玉のような斑紋が並びます。オスの中央の尾羽は長く伸び、メスの尾は短めです。
ベトナムカンムリセイランは、ベトナムの森林に暮らす鳥で、森の中から聞こえる鳴き声が居場所を知る手がかりになります。中部高原のコンチュラン自然保護区では、その声を録音し、鳥が森林のどこを使うかを調べる研究が行われました。
2021年の調査では、録音できるようにしたスマートフォンが四十地点に置かれました。鳥の声はそのうち十六地点で記録され、とくに保護区の北部と東部で多く見つかりました。人が見通しにくい森の中でも、声を残すことで、この鳥が使う場所を比較できたのです。
研究では、近くの村から離れた場所ほど、この鳥がいる可能性が高くなっていました。研究者たちは、その違いに密猟の影響が関わる可能性を挙げています。コンチュランと近くの二つの地域を、保全上重要な候補として考えました。森に響く声は、鳥の存在を伝えるとともに、人の暮らす場所との距離や、守る地域の広がりを知る情報にもなっています。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
コンチュランの研究は、村からの距離と鳥の生息の関係から、密猟がこの鳥に悪影響を及ぼす可能性を指摘しています。声の記録を使って生息地を把握し、周囲の森林も合わせて保全を考えることが、研究から示された方向です。