コーカサスクロライチョウは、コーカサス山脈の森林限界付近の草地にすむ鳥です。オスとメスでは尾の形や羽色が異なります。
オスは黒く、長く曲がった尾を持ちます。メスは灰褐色で細かい横じまがあり、尾は短く角ばっています。オスとメスとも翼の下面に白い部分があります。
コーカサスクロライチョウは、雪の中に掘った穴で夜を過ごし、荒れた天気もやり過ごします。天敵が穴の入り口に近づくと、奥の上にある雪を突き破って逃げます。やわらかな雪は、この山の鳥にとって、夜の隠れ家にもなります。
二〇〇四〜〇五年、ジョージアの二つの地域で、オス八羽とメス六羽に小型の発信器が取り付けられました。研究者は、深い雪のある冬を除いて二〇〇六年まで居場所を追い、鳥を見つけた地点を記録しました。電波を手がかりに、険しい山で見つけにくい鳥のすみかを調べたのです。
二〇一〇年の論文では、この追跡に各地の観察や痕跡の記録を加え、気候、草地や森林までの距離などを比べました。最もよく合う予測では、落葉樹の森の縁に近い草地で、鳥がいる可能性が高くなりました。草地と木々が接する場所に暮らす鳥の姿が、電波や観察の記録から浮かび上がりました。
絶滅のおそれの評価は、まだ掲載していません。
イランのアラスバラン生物圏保護区では、二〇二〇年に住民九十五人への聞き取りが行われ、約半数がこの鳥は減ったと答えました。二〇二二年の論文は、放牧や草の刈り取り方と生息状況との関係を、さらに調べる必要があるとしています。現地の植生調査と住民の知識を合わせ、地域の暮らしも踏まえた草地の管理を進めることが課題です。